2024年10月、WordPressコミュニティ内では「WordPress騒動」と呼ばれる事態が発生しました。
この「WordPress騒動」とは、WordPress専用のホスティングサービスを提供する企業である WP Engine と、Automattic の CEO であり WordPress の共同創設者でもあるマット・マレンウェグ(Matt Mullenweg)との対立を指します。

WordPress Riots

Image created by Alana Jordan

対立の背景は?

今回の「WordPress騒動」の原因は、WordPressユーザに非常に人気のあるプラグイン「Advanced Custom Fields (ACF)」が Automattic によって「Secure Custom Fields (SCF)」としてフォークされたことにあります。

WP Engine が所有する ACF は、カスタムフィールドを簡単に追加できるプラグインで、WordPressユーザーに非常に人気でした。

しかし、2024年10月、マット・マレンウェグは「セキュリティ上の問題と商業的なアップセルの削除」を理由に、このプラグインを SCF としてフォークすることを発表したのです(ACF には有料版へのアップグレードを促す要素が含まれており、これが WordPress.org の方針に反しているとされました)。この行動は WP Engine 側の同意なしに行われたもので、ACFチームはこれに対し強く反発している、というのがこの騒動の背景です。

事の発端

事の発端は、2024年9月21日にマット・マレンウェグが WordPress公式ブログで WP Engine を名指しで批判したことです。この投稿で、彼は WP Engine が WordPress のオープンソースプロジェクトに十分に貢献していないと非難しています。

WP Engine はこの批判に対し、「不当で事実に反している」と反論し、法的措置を取る構えを見せました。9月25日には、WordPress.org が WP Engine のアクセスをブロックし、プラグインやテーマのアップデートができなくなる状況が発生。この対応により、WP Engineを使用しているユーザーは、セキュリティアップデートや機能追加を受けられないリスクが生じています。

ユーザ側のリスクとは?

このような一方的なフォークは、WordPressコミュニティ内の信頼関係を大きく損なう可能性があり、今回のような事態が続けば、開発者が WordPressプラットフォームから離れるリスクが高まります。この結果、新しいプラグインの開発や既存のプラグインのメンテナンスが滞ることで、ユーザが期待する機能やサポートが得られなくなる可能性があります​。

また、WP Engine と Automattic の対立により、プラグインの互換性が崩れるリスクがあります。
特に ACF のような広く使用されているプラグインが分裂すると、ユーザーがどのバージョンを選ぶべきか、他のプラグインやテーマとの互換性が保たれるのかといった点が心配です。

さらにセキュリティー面にも目を向けておく必要があります。
SCF がセキュリティ問題の修正を目的としているとはいえ、ACF と SCF の両方が今後どのようにメンテナンスされるかは不透明であり、セキュリティアップデートが十分に行われなかった場合、これらのプラグインに依存しているサイトはサイバー攻撃やデータ漏洩のリスクにさらされる可能性があります。特に、フォーク後のプラグインは、異なる開発者によってメンテナンスされるため、更新の遅延や不整合が生じるリスクも考えられます。

ユーザにとっては、サイトの安定性が損なわれる危険性があり、特に企業サイトや高トラフィックサイトにおいては重大な影響を及ぼす可能性があることは否めず、懸念事項となるはずです。

最悪の結末

WP Engine が Automattic に対して提起した訴訟が長引けば、さらなるプラグインの分裂や機能停止が発生する可能性があります。これにより、プラグイン開発が停滞したり、ユーザーが必要な機能を使えなくなったりする可能性が高まります。特にセキュリティやパフォーマンスに関する重要なプラグインが影響を受けると、WordPressを使用するサイト全体のリスクが増加します​。

法的な争いが解決されない限り、ユーザは不安定な状況に置かれることは免れず、現実的な選択として、他の CMS に乗り換える必要性が生じる可能性があります。

WordPress の代替としての Joomla!

このような WordPress の内紛が続く中、Joomla! は一つの代替CMS として検討する価値があります

Joomla! は長年にわたり安定したオープンソースのプラットフォームとして、特に複雑なサイト構築やユーザー管理が必要なプロジェクトに強みを発揮しています。WordPressのように大規模なエコシステムと強力なサードパーティ製プラグインがある一方で、より一貫した開発方針と柔軟な拡張性が特徴です。

特に、現在の WordPressコミュニティでの騒動がセキュリティやプラグインの信頼性に不安を感じさせる中、Joomla! はその一貫した運用と、サポート体制、拡張の自由度でより安定した代替手段となり得るでしょう。

WP Engine や Automattic の対立が長引く中、Joomla! のようなプラットフォームを活用することで、安定したサイト運用を期待できます。
Joomla! の専門家である私達に、ぜひお気軽にお問い合わせください。

関連記事: